シテール島への船出

ギリシャの戦後を描く社会派ドラマ。監督は「旅芸人の記録」のテオ・アンゲロプロス監督。ボーっと見ていると何が何だかわからないが、きちんと見ていてもよくわからないという映画である。アンゲロプロス監督の作品いつもそんな感じだ。


新作映画を作るにあたって難航していた主役選びだが、ピッタリの老人が見つかる。その辺からいつの間にか劇中劇に入っていて、映画は進行して行く。老人は映画監督の父で長い間亡命していたのである。

この映画は面白いとかいう作品ではないけれど、ラストシーンは非常に印象的である。桟橋から次第に遠く漂って行く老人とその妻。私の好きな曾禰好忠の一首「由良のとを わたる舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな」と通じる心情がそこにはある。

画像

 

 

 

しかしこのラストシーンにたどり着くには、140分間耐えなければならないのだ。しんどいけど見たい。見たいけどしんどい。

1983年製作。

画像

 

 

 

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。