古都

古都」の原作は川端康成。久しぶりに素敵な映画を見たという感じ。内容もいいし映像も美しい。こういう見応えのある作品をもっと見たいものだが、なかなかそううまくはいかない。いい作品は数少ないし、巡り会える機会もなかなか無いのだ。

千重子(岩下志麻)は呉服問屋の娘で何不自由ない生活であるが、本当は捨て子で今の両親は育ての親である。大切に育てられて何も不満などないけれど、心のどこかに私は捨て子なのだという思いがある。ある日、北山杉のある村を訪ねると、そこで自分にそっくりの娘を見かけるのだった…。

こういう物静かでしっとりした映画がいい。ガサガサした映画は疲れる。派手なアクションもスペクタクルも大金をかけたCGもいらない。大切なのは中身なのである。内容のしっかりしたドラマをじっくりと見たいものだ。

岩下志麻の着る数々の着物が素敵で、これも見どころの一つである。オードリー・ヘブバーンがジバンシーの衣装をあれこれ着るみたい。「華麗なる賭け」のフェイ・ダナウェイの美しいファッションみたい。

監督:中村登
出演:岩下志麻、宮口精二、中村芳子、長門裕之、吉田輝雄、東野英治郎、他
1963年製作

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