印象に残る言葉

古い大阪弁で”いとはん”というのはお嬢さんということ、”御寮人はん”というのは若奥さんということである。現代でも言うのかどうかは知らないが、こういう呼び方を知ったのは、高校か大学の頃に谷崎潤一郎の「細雪」を読んでのことであり、以来この言い方が気に入っている。
谷崎潤一郎といえば耽美的な「春琴抄」、「痴人の愛」もいいけれど、ズシッとした読み応えのある「細雪」がやはり代表作であると思うし、長編だけに読書の楽しみも長い。
三島由紀夫「潮騒」での”汝(んの)”という呼び方もなぜか妙に心に残っている。汝(なんじ)と読む漢字だけど、潮騒を読んで以来”んの”に見えてしまう。
印象に残る言葉やフレーズ、名前などがあると、その作品の印象も強くなる。
やっと涼しくなってきて読書に向いたこの時期、心に残る作品に出会えたいものだ。

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