ギャングが現金輸送車を狙うというモチーフの映画が数々あった。また西部劇では現金を輸送している列車や馬車を襲ったり。銀行強盗が驚くような方法で金庫を狙うというものも。しかしこれからはそういったモチーフが時代に合わなくなるかもしれない。
キャッスレスが進むと現金を輸送する必要がなくなって来る。現金の流通量が減れば、銀行にも大量の現金を保管しておく必要がなくなる。ギャングが現金を狙うというシチュエーションが消えるかもしれないのだ。
もうとっくに電話のダイヤルを回すという映像が見られなくなったり、電話ボックスが登場しなくなったりしている。昔はよく出てきたシチュエーションだった。
お金は紙幣や貨幣から記録された数字へと変わっていく流れである。とっくの昔に給与は現金支給から銀行振込という数字での支払いになっている。今まではその数字をお金にして使っていたが、数字のまま使うように現在変化している最中である。いずれお金はすべて数字になっていくのだろう。
だから犯罪者は現金を強奪するのではなくて、数字を書き換える、あるいは数字を移すような手段になっていく。わかりやすい例でいうと、ターゲットの銀行口座から他の口座に残高を移すというようなことである。
しかし現金と違って数字の移動は記録が残って足がつきやすいから、その辺の工夫がエンターテインメントとして面白くなる要素かもしれない。時代とともに消えるモチーフや新たに生まれるモチーフがあるのだ。