エンデュアランス号漂流/アルフレッド・ランシング

これは南極圏の流氷に閉じ込められたエンデュアランス号の乗組員が、約1年半かけて生還した遭難の記録である。

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アーネスト・シャクルトンを隊長とするエンデュアランス号は、南極大陸横断という目的のため、流氷の中を進み大陸に近づいていた。だが1915年1月、氷に囲まれて船は動けなくなり、ついに沈没してしまう。流氷群の上に取り残された隊員は、船から下ろした食料やアザラシなどで命をつなぐ。そして幾多の困難の末、捕鯨基地にたどり着き生還を果たすのだ。

まず酷寒の地での日常生活がひどい。毎日氷点下の中、テントや寝袋程度しかないわけである。装備も十分でない。氷の上なので水だけは十分あるが、新鮮な食べ物はアザラシかペンギンだけである。衛生状態もだんだん悪くなっていく。病人が出ないのが不思議なくらい。なかなか先の見通しが立たない状況の中、精神的にもだんだん参っていく。

ちょっと驚くのが、船が木製であるということだ。結局氷に押しつぶされてバラバラになってしまうのだが、そりゃそうだろうという気がする。その当時も鋼鉄製の船はあったはずだが、なぜ木製なのだろう。

全員死亡してもおかしくないのだけど、数名が凍傷にかかった程度で、28名全員が助かったのは奇跡といってもいい。私自身は絶対に行きたくない、寒い寒い遭難の記録である。

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