原子力安全委員長の「可能性はゼロではない」発言について

福島第1原子力発電所1号機への海水の注入が大震災翌日に一時中断した、この問題がここ数日ニュースになっている。原子力安全委員長の斑目氏が「再臨界の可能性はゼロではない」と言ったことが、結果的に注水中断につながったようなのだ。
おそらく斑目氏は可能性として言っただけだろう。再臨界はまず起きないということは専門家ならわかっているはずだからである。
しかしこれは緊急事態での発言なのだ。悠長に科学的可能性を論じている場合ではない。今すぐ具体的指示を出さなければならない場面なのだ。安全委員長の立場なら、ほとんど起こり得ないようなことに言及などせず、すぐに海水を注入すべしと進言するべきだったのではないか。
「可能性はゼロではない」。科学者の言いそうなセリフである。しかし斑目氏は一科学者ではない。原子力安全委員長であり、発言したのは非常事態の最中なのだ。この局面でのこの発言は、自らに保険を掛ける逃げの発言だという気がする。
責任を問われても仕方がないだろう。

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