マネーロンダリング/橘玲

タックスヘイブンの銀行などを利用して資金を移動し、出処をわからなくしてしまう。そんなマネーロンダリングの手法が迫真性を持ってふんだんに描かれるサスペンス。
香港在住のコンサルタント、工藤秋生のもとへ類まれな美貌を持った麗子が訪れる。要件は、日本から海外に5億円を移動して損金として処理したいというものだった。しかし実際に動いた金は50億。そしてその金とともに麗子は消えた。工藤はヤクザも絡んだ金融商品詐欺のトラブルに巻き込まれていく。麗子と50億はどこへ?
冒頭から始まる香港の金融界に関する描写、怪しげな口座の作り方など非常にリアリティがあり、ぐっと物語に引き込まれる。500ページを超える長編だが、各所に散りばめられる金融の裏技が興味深く、また展開もテンポがいいのでどんどん読み進んでしまう。金融に関する指南書を多数出版している橘玲の作家デビュー作である。幻冬舎文庫。

画像

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。