脳死について知ったこと

脳死は簡単に言うと、脳は死んでいるが心臓は動いているという状態である。といっても自発呼吸はできないので、人工呼吸器などにつながれてやっと心臓が動いているという状況なのである。瞳孔は開いているし、刺激を与えても反応はない。
脳死と植物状態とは大きく違い、植物状態では自発呼吸可能であり、刺激に対する反射もある。栄養さえ補給すれば生きていける状態なのだ。
立花隆「脳死」を読んでみると、脳死判定は脳死の定義に大きく左右されることがわかる。脳幹死説(脳幹の機能が失われたら死亡)、全脳死説(脳全体の機能が失われたら死亡)、全脳梗塞説(脳の血流が止まったら死亡)のどれをとるかによって、同じ患者が脳死と判定されることもあれば、生存していると判定されることもあるのだ。
これが問題となるのは臓器移植がからんだときで、脳死の判定を誤って臓器を取り出した場合はすなわち殺人ということになるからだ。生きているのに心臓を取り出されたりしたらたまらない。
逆に臓器移植をしないのであれば、どの説をとって死亡としても大差ない。いずれ心停止が訪れるのであるから。
この本が書かれたのは25年くらい前なのだが、現在もあまり状況は変わっていないようで、脳死の判定基準と検査方法は相当怪しく、誤診もありそうである。誤診があるということは、生きたまま臓器を取り出されるという恐るべき状況が出現するということだ。脳死と判定されたら死体なのだから、臓器を取り出すときに麻酔など当然しない。
実は脳死者はほとんど発生しないのであり、レアケースなのである。そもそも人工呼吸器がある大きな病院でしか脳死は発生しないのだ。そして臓器移植ということがなければ、脳死の判定もそう大きな問題ではないのである。
そして現在、臓器移植に代わる方法として再生医療が注目されつつある。再生医学が発達すれば、脳死という問題もあまりクローズアップされなくなるのかもしれない。

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