海外移住が増えてきているそうだが、テレビで特集番組を見ていても、どこがいいのかさっぱりわからない。どうみても楽しそうではない。3日もいれば飽きそうで、せいぜい一週間が限度だろうとしか思えないのだ。
移住する人達は本を読まないのだろうか。海外移住先に日本語の本が充実しているとは思えないし、日本の古書店もまず無いだろう。私は本を読みたいし、また古書店で面白そうな本を探すのが好きなので、それのできない街には住みたいとは思わない。本のない生活は考えられない。
景色がいいというのも特に魅力を感じない。どんな景勝地に行っても、眺めるのはせいぜい数分である。それ以上眺め続けたいとは思わない。家からの眺めが良いというのはいいことだけど、住まいを選ぶ条件として、それはプライオリティがあまり高くはない。
海が近いとか自然が豊富というのも、あって悪いものではないけど、それがそんなに魅力的な条件かというと、案外そうでもないような気がする。学生の頃は毎日学校から海が見えたし、すぐに行くこともできた。でも景色というものはすぐに当たり前の風景になるし、海にもたまにしか行かなかった。
日本より貨幣価値の低い国へ行くのが、海外移住の唯一の魅力なのじゃないだろうか。貨幣価値が2分の1、3分の1の国へ行けば、預貯金が一気に2倍、3倍になるのと同じなのだから。それ以外のことはそれほど重要なことではないと思われる。
便利で治安がよく人心も穏やかでおいしいものが豊富、世界トップクラスの住みやすい国に住んでいるのに、わざわざ海外に住むなんて考えられないことだ。友人だってみんな日本にいるから、海外に行ってしまったら親交もままならない。少なくとも人生現役の間はありえない。貨幣価値の差を生かして広い家を安く手に入れたいとか、年取って何もやることがないとかじゃないと、飽き飽きしてすぐに逃げ出したくなるだけだ。
でもそうじゃない人もいるということなのだろう、移住する人が多いということは。