まぼろし

熟年夫婦が休暇を過ごしに海辺の別荘にやってくる。料理を作って食べたり、静かに会話したり。翌日浜辺に行き、妻が日光浴をしている間、夫はひと泳ぎしに行く。日光浴しながら寝てしまった妻が目覚めると、夫はいない。その辺を探しても見つからず、捜索願を出す。結局夫は戻らないのだが、妻には夫の幻影が見え、以前と変わらず一緒に暮らしているような錯覚にしばしば陥るのだ。
熱愛カップルというわけでもない、どこにでもいるような熟年夫婦。それが、いるのが当たり前と思っていた伴侶が急にいなくなり、心に破綻をきたし始めるのだ。
夫の失踪により、表面的には冷静でも思いがけないほどのダメージを受けている様子が痛々しい。もう亡くなった夫を探して心はさまよい続ける。現実から逃避して想像の世界に入っていくのだ。
ラストシーンが象徴的である。
2001年フランソワ・オゾン監督。シャーロット・ランプリング主演。

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