香華(こうげ)

俳優陣の演技力が光る、見ごたえのある作品である。たまにはこういう中身の詰まった映画をじっくり見たいものだ。技術を駆使していくら迫力のある映像を作っても、中身がなけりゃどうしようもない。「香華」は古いし白黒だけど、別に何の不満もないし、却って白黒の映像が魅力的に思える。監督がいいと、やっぱり凡作とは違うものが出来上がるのだ。200分と長いけど、実に面白い作品なのである。DVDのジャケットも素敵。

朋子(岡田茉莉子)は早くに父を亡くし、母(乙羽信子)は再婚して出ていってしまい、祖母に育てられる。しかし祖母が亡くなると母に引き取られ、その後遊郭に売られてしまう。芸者として一本立ちし、士官の江崎(加藤剛)と恋に落ち、パトロンの協力を得て置屋を始める。転がり込んできた母も養い、生活は順調に見えたが、戦火はすぐそこに迫っていた。

乙羽信子が特にいい。素晴らしい演技である。「芸達者」という言葉が頭に浮かぶ。岡田茉莉子がまた素敵。この人は薄幸な女の役がよくハマる。「秋津温泉」でもとても良かった。岡田茉莉子が主演の映画を何本か見たが、どれもいい作品ばかりで、いつの間にか好きな女優の一人になった。

監督:木下恵介
出演:岡田茉莉子、乙羽信子、岡田英次、加藤剛、三木のり平、菅原文太
1964年製作

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