ウルトラマンなのに全編コメディ調なのだ

先日懐かしの初代ウルトラマンの、実相寺昭雄監督作品ばかり集めたものを見た。「実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン」という題名で、一応映画ということになっているが、内容はテレビ放映されたものをオムニバス形式に再編集したものである。その中にスカイドンという怪獣が出てくる回があって、これが最初から最後までずっとコメディ調なのだ。普通ヒーローものは真面目な雰囲気で作られているもので、ここまでコメディ調というのは珍しい。というか、こんなのは他に見たことがない。

深夜に宇宙から流れ着いたスカイドンが東京に落ちてくる。その地響きで起きた科学特捜隊の隊員たちが寝間着姿で司令室に集まる。もうすでにおかしな状況だ。紅一点のフジ隊員は昭和な寝間着姿でインカムを付けどこかに連絡をとっている。イデ隊員はパジャマで枕を抱いている。隊長はかろうじて制服を着ているが前後が逆。

スカイドンは非常に重い怪獣で、科学特捜隊の攻撃は全く歯が立たない。そこで麻酔で眠らせたスカイドンをワイヤーで釣り上げたり、プロペラを取り付けたり、ロケットで飛ばそうとしたり、なんとか宇宙に返そうとするが、どれも上手くいかない。それらの作戦がまたいちいちコメディ調なのだ。

そして最後にスカイドンの尻から水素を注入し、風船のように膨らませて宇宙に飛ばすという作戦がうまく行った。ところが奇怪な風船を自衛隊機が撃墜し、また落ちてくるスカイドンを下からウルトラマンが体当たりで粉砕するという最後になるのだが、この時もハヤタ隊員がウルトラマンに変身する際に、フラッシュビームと間違えて、その時食べていたカレーライスのスプーンで変身しようとしたり。

なんとか事件が解決し、全員で梅見の会を行いフジ隊員が着物姿でお茶を点てている。するとイデ隊員の額にウグイスの糞が落ちてくるのである。スカイドンの代わりにまたも嫌なものが落ちてきたというわけだ。とにかくずっとコメディ調なのである。ヒーロー物なのに。

ということで、実はこのスカイドンの回は初代ウルトラマンの作品の中で一番印象に残っているのである。だってヒーローがカレーライスを食べていたスプーンで変身しようとしたりするかね?

ちなみにフジ隊員を演じる桜井浩子さんは、高校の同級生M君のおばだそうだ。昔それを聞いたときには驚いたが、確かに目がギョロッと大きいところなどよく似ている。

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