オースティン原作の恋愛ドラマ「いつか晴れた日に」。舞台は19世紀初頭のイギリスである。こういう古い時代の衣装をまとった作品は好きである。映像もきれいだし、それだけでも十分楽しめる。恋愛ドラマといっても、こういう格調高い作品は安っぽくなくていい。しかもキャストがなかなか豪華。エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、アラン・リックマン、ヒュー・グラント。
やっぱり原作がしっかりしていると話は面白い。一気呵成に見てしまう。オースティンの小説は「エマ」「自負と偏見」を読んだことがあるが、この映画の原作になっているのは「分別と多感」。脚色は主演のエマ・トンプソン。
父親が亡くなったばかりで、わずかな年金だけが頼りの3姉妹とその母。家督を相続した長男の、意地の悪い妻ファニーに今まで住んでいた家を追われるように出て、母親のいとこのコテージに移り住む。長女エレノア(エマ・トンプソン)とファニーの弟エドワード(ヒュー・グラント)、次女マリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)とブランドン大佐(アラン・リックマン)やウィロビーとの恋の行方はいかに...。
オースティンの作品は”読ませる”小説だけに映画となっても話は面白く、ついつい止まらなくなる。そして最後は収まるべき所にちゃんと収まる。予定調和と言えなくもないが、後味はいい。最後の場面、しっかり者の長女エレノアのずっと抑えてきた感情がほとばしるあたり、ちょっと涙を誘う。
実は最初から、最後はこうなるんじゃないかなというのがなんとなく読めていたが、それでもちゃんと面白いのである。ガタイのいいケイト・ウィンスレットも、まだこの頃はそれほどでもない。
1995年製作、アン・リー監督