20年ぶりに「みじかくも美しく燃え」を観た。60年近く前の映画なのに映像は瑞々しく、主演のピア・デゲルマルクはとてもきれいである。リマスターのせいなのか、映像はきれい過ぎるくらいなのだけど若干ベタッとしたような平板な感じもする。フィルムというよりビデオっぽい映像になっている。
妻子のあるスパーレ中尉はサーカスの綱渡りの芸人であるエルヴィラと駆け落ちする。軍を脱走したので手配犯となっている上、伯爵であるスパーレ中尉は働く術もなく、やがてお金も尽きる。森のキイチゴなどで飢えをしのぐが、それも限界に…。
原題は「ELVIRA MADIGAN(エルヴィラ・マディガン)」。主演のピア・デゲルマルクの役名がそのまま題名になっている。実際に起きた事件を元に映画化しているのでこれで伝わるのかもしれないが、なんか身も蓋もないというか、欧米的な直截的題名である。対する邦題は「みじかくも美しく燃え」。叙情的なふんわりとした題名。この題名を見ただけじゃどういう映画かよくわからないけど、まあこっちの方が美しくていいかも。
以前に観たときの評価は二重丸で、年間ベストワンだった。しかし今回は丸が付かない。以前は純粋な愛の逃避行に思えたが、今は無計画な二人に思えてしまう。そして無計画の二人は当然の帰結を迎える。若いうちはこれを美しく思えるのだが。それでもピア・デゲルマルクは変わらずきれいだ。
監督:ボー・ウィデルベルイ
出演:ピア・デゲルマルク、トミー・ベルグレン、レンナルト・マルメル
1967年製作