白昼の通り魔

1960年頃から松竹ヌーベルバーグと呼ばれた大島渚、篠田正浩、吉田喜重の3人の監督の作品がdTVにたくさんラインナップされたので、いくつかまとめて見た。その中で一番良かったのがこの「白昼の通り魔」である。

シノ(川口小枝)が奉公に出ている先に、同じ村の出身である英助(佐藤慶)が突然訪れ、シノは英助に暴行されてしまう。そして女主人は英助に殺される。シノは英助が噂の”白昼の通り魔”だと気づくが、警察の取り調べではこの事を黙っていた。そしてシノは村の中学校の教師であり英助の妻であるマツ子(小山明子)に手紙を書く。

シノの力強さがいい。また英助の無頼とマツ子の不可解さも面白い。ちょっと不思議な魅力に満ちた作品である。白黒なのも良かったのかもしれない。これで一気に大島渚監督を見直して他の作品もいくつか見たが、他はどうもイマイチ。悪くはないのだけど。あの時代に見たら、きっともっと衝撃的だったのだろう。

大島渚、篠田正浩、吉田喜重の3人とも大物女優と結婚している。監督と女優。よくある話で、あまりヌーベルバーグっぽくない気もするが。大島渚はこの映画にも出ている小山明子と、篠田正浩は岩下志麻、先ごろ亡くなった吉田喜重は岡田茉莉子と。そして3人とも自分の作品に奥さんをよく使っている。3組とも、お互い才能に惚れたということか。

監督:大島渚
出演:川口小枝、佐藤慶、小山明子、戸浦六宏、渡辺文雄、小松方正、他
原作:武田泰淳
1966年製作

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