なんと信じられないことに、将棋の羽生9段がA級から陥落することが決まった。今季のA級順位戦の8回戦が4日に行われ、永瀬9段に敗戦。2勝6敗となってB級1組に降級することになったのだ。
将棋の棋士にはA、B1、B2、C1、C2というランクがあり、毎年の順位戦で各ランクの上位、下位の2〜3人が入れ替わる。A級が一番上のランクで、A級で1位になると名人に挑戦できる。
羽生9段はA級昇級以来、連続29期A級を維持していた。7つのタイトルを独占したこともあったし、各タイトルの永世の称号もすべて得ている。これまで獲得したタイトルは99期。そんなレジェンドとも言える羽生9段でも陥落するほど、A級は厳しいところだ。
羽生9段は現在51歳である。永世名人の資格を持つ人でもだいたいこのくらいになるとA級から陥落することが多いようで、17世名人の資格の谷川9段も51歳で、中原16世名人も52歳で陥落した。50歳くらいが、A級に在籍し続けられるかどうかの境目なのかもしれない。年齢とともに棋力、集中力などが低下するというのは、よく言われることである。
羽生9段は果たして来季A級に復帰できるのか。谷川9段は陥落後の復帰は叶わず、現在はB級2組にいる。中原16世名人は陥落後、フリークラスに転出して順位戦に出なくなった。これらの例を見ると、50歳を超えた年齢でのA級復帰はかなり難しいと思われる。
現在のA級棋士で50代なのは、羽生9段と52歳の佐藤康光9段だけ。あとは40歳の山崎8段を除くと全員20代、30代である。そのくらいが指し盛りであり、一番強い年代なのだ。羽生9段が7冠すべて独占したのも25歳のときだ。
羽生9段の数々の栄光を見てきた将棋ファンとしては、なんとかA級復帰、タイトル100期を実現してもらいたいが、すでにタイトル争いの中心もずっと若い世代に移ってしまっている。羽生ファンの願いは虚しいものになる可能性が高い。