トンネルを抜けると、新潟は一面の雪景色だった

大学受験で新潟に行ったとき、その頃はまだ上越新幹線も無くて特急「とき」で行ったのだけど、群馬県と新潟県の県境を越えるトンネルを抜けると、そこは一面の雪景色だった。カラカラの群馬から、トンネル一本抜けるだけで景色がまるで変わるのだ。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という、川端康成「雪国」の文章そのままの風景が広がる。単に雪が積もっているだけではない、雪が線路に迫りくるような厚みのある雪景色なのである。だから雪国なのだ。

もうその時は、受験のことなど忘れて外の景色に見入ってしまった。初めて見る深い深い雪の景色。運良く合格して、その後何年も新潟で暮らすことになるのだが、冬の訪れは毎年楽しみだった。新潟市はさほど雪が積もらなくて、せいぜい数十センチなのだけど、それでも関東では経験したことのない積雪だ。年末から春まで地面を見ることはない。一面の雪景色が何ヶ月も続くのである。

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