京都のおいしかった記憶/西利、奥丹、京あにま、など

京都の二条城の近くに全日空ホテル(現在はANAクラウンプラザホテル京都というようだ)があって、昔そこのB1Fに京漬物の「西利」があり、朝定食が食べられた。ご飯と赤だしと、そして漬物食べ放題なのだ。あっさりシンプルでなかなかいい感じの朝食である。30年ほど前に京都に遊びに行ったときの話だ。

おばちゃんにあれとこれと言うと、ショーケースから漬物を出してきれいに盛り付けてくれる。千枚漬、すぐき、しば漬、ナス、なんやら組み合わせた創作ものなど。土産物屋の一角のような所で食べるのだけど、おいしい漬物があれこれ食べられるし、日本の朝ごはん!という気がする朝食だった。泊まったのはもっと安い京都ガーデンホテルなのだけど、わざわざそこまで歩いて食べに行ったのだ。

このときは京都に4、5泊して、嵯峨野を散策したり、銀閣寺から哲学の道をずっと歩いたり、あちこちゆっくりと見て回った。火事による焼失前の寂光院も見ることができた。嵯峨野で何の気なしに食べたうどんが、とてもおいしくて驚いたことを今も覚えている。

南禅寺では、有名な「奥丹」で湯豆腐のコースを食べたが、若かったせいか湯豆腐よりも木の芽田楽の方がうまかったような。今はもう無いようだけど、「京あにま」という街中のホテルの2Fにあったモダンで静かな和食店も非常に良かった。料理はもちろんおいしいし、ガラスの器で冷酒を飲みながら、落ち着いた雰囲気でゆっくりと夕飯を摂ることができたのだ。それに私はカツオのたたきは嫌いなのだけど、ここのは臭みも無くちゃんと食べられたのである。

総じて寺や景色よりもおいしかったものの方がよく覚えているようだ。うまいものは忘れ難し。

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