ボタニカルアートとミレー

足利の友人Yは、この間山梨の甲府の方に遊びに行ってほうとうを食べたりしてきたそうだが、そのときに山梨県立美術館にも行ったとのこと。「キューガーデン 英国王室が愛した花々」という企画展と収蔵品のミレー「種蒔く人」などを見てきたそうだ。

「キューガーデン 英国王室が愛した花々」はボタニカルアートの企画展である。ボタニカルアートとは植物学的な芸術という意味であり、正確で細密に、かつ美しく描いた植物画のことなのである。私はこのボタニカルアートが結構好きなのだが、同じような絵が延々と続くので友人は飽き飽きしたそうだ。

友人の話を聞いて、そういえば私も似たような企画展に行ったことがあるなと思い、保存してあった半券を確認してみると、5年前のパナソニック汐留ミュージアムでの「世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュガーデン」展だった。おそらく内容もほぼ同じものだろう。

ボタニカルアートの企画展は、もう1つBunkamura ザ・ミュージアムでの「バラの宮廷画家 ルドゥーテ展」にも行ったことがる。こちらはバラの花の絵ばかりだから、もし友人が行ったとしたら余計に飽き飽きしたことだろう。しかしルドゥーテのバラの絵はとても美しいものなのである。

ミレー種蒔く人」は30年以上前に山梨県立美術館が1億7000万円という価格で手に入れたもので、そのときは公立の美術館がとても高額な絵を買ったということでずいぶん話題になった。数十億からなかには百億を超える値がつく作品もある現在から考えると、まったく安いとしか思えないのだが、当時の相場はそんなものだったのだろう。その後も山梨県立美術館ではミレーの作品の収集を続け、今では70点もの作品を集めてミレーの美術館と言われる程になっている。

ところで友人とは、40年以上前にこの友人のお母さんの引率で、その頃あった池袋の西武美術館での「ミレー、コロー展」に行っているのだ。このときの目玉作品はミレー「落ち穂拾い、夏」だった。オルセー美術館収蔵「落ち穂拾い」とはちょっと趣を異にするものだが、これも山梨県立美術館の収蔵品となっていて、友人は図らずも40年ぶりにこの絵を見たわけである。当人は気がついていなかったようであるが。

落ち穂拾い、夏

落ち穂拾い

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