静かに眺める「ヨーロッパ トラムの旅」

NHKで夜中にやっていた「ヨーロッパ トラムの旅」という番組をいくつか見た。ヨーロッパの各都市を走るトラムの車窓風景を中心とした紀行映像である。セリフは無し。約1時間、音楽に乗せて淡々と映像が流れる、静かな番組である。NHKじゃないと成立しない、NHKならではの番組だ。酒を飲みながらこれを眺めるのがなかなかいいのである。

トラムとは路面電車やLRTのことである。英語圏、フランス語圏、ドイツ語圏など、どこでもトラムと呼ばれているようなので、世界共通語となっているようだ。近代的なデザインの車両が多く、低床化も進んでいて、乗り降りもしやすくなっている。

トラムの車窓風景なので、多くは大通りを中心とした街並みの風景だ。どの都市でも通りの風景は似ていて、大通り沿いに同じような形の高い建物が隙間なく整然と続く。6、7階建ての奥行きもありそうな歴史ある建築物である。中身はどうなっているかわからないけど、外観はオフィスというよりは住居に見える。

収容人数が多そうで、だから都市部で職住接近が可能なのだろう。日本の都市の大通りの建物は高かったり低かったりデコボコで、しかもほとんどオフィスか店舗だ。だからよそから通わざるを得ない。

大体の都市では古い建物ばかりだが、ドイツのベルリンは通りの建物がちょっと近代的になり、「ビル」が多いようだ。

トラムは車道を走るわけで、一緒に車が走るのがおなじみの風景だが、オランダのアムステルダムだけちょっと違う。歩行者と非常に近い所を走ることが多い。歩行者天国の中をトラムが突っ切るようなイメージなのだ。いくらオランダ人がバカでかいといっても、トラムとぶつかったらひとたまりもなはずだ。あんなんで大丈夫なのだろうか。

西側の各都市は似たような風景だけど東欧ブルガリアの首都ソフィアはガラッと違う。トラムも急に古めかしくなる。トラムというより路面電車と表記したい感じである。

ソフィアの通りは緑が多く、両側の建物も比較的高さが低い。建物のデコボコさ、まばらさは日本の都市とちょっと似ている。

ポーランドのクラクフも、通りの両側の建物がほとんど3,4階建てと低い。トラムの車両もかなり古いものがあったりする。同じヨーロッパでも、どうも西側に比べて東側はトラムが古く建物も低いようだ。街並みにも経済格差がはっきり表れているのである。

トラムが走るのは大通りなので、各都市とも大体は似たような風景なのだが、よく見るとそれぞれ個性はあるし日本には見られない街並みなので、ただ眺めているだけでも結構楽しい。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。