躍進の茨城空港

茨城空港はもともと航空自衛隊百里基地だった。滑走路を拡張し、空港ターミナルビルを建設して、自衛隊と民間の共用空港として2010年から営業を開始したのである。ターミナルビル建設中及び開港当初は、箱物行政の無駄な産物として批判が多かった。何しろ関東には成田空港も羽田空港もあるのである。東京から車で2時間強の場所に空港を作る必要があるとは、とても思えなかった。

その予想通り、2010年度のフライト利用者はわずか20万人。1日に数本の運行しか無く、利用者は500人/日程度。

しかし、ここ数年の外国人旅行者の激増で風向きが変わってきた。今では年間のフライト利用者が80万人近くになったのである。中国からの利用者が特に多い模様。国内線は札幌、神戸、福岡、那覇へ、国際線は上海、台北、ソウル(現在運休中)へ就航している。ちなみに2017年の成田空港の利用者は3300万人。

なぜ利用者が増えたかというと、安いからである。空港利用料が安いから運賃も安くすることができる。茨城−上海間の運賃が数千円というものもあるらしい。さらに駐車場が無料である。空港に鉄道が通っていないので車かバスで来るしかなく、無料の駐車場は大きなポイントなのだ。また空港利用者は東京からの直通バスを500円で利用することができる。

茨城空港に現在就航しているのは、国内線がスカイマーク、国際線が中国の春秋航空、台湾のタイガーエア台湾。LCCばかりなのである。アクセスはちょっと悪いけど、安さで勝負の空港なのだ。

ちなみに空港内のお食事処は「すぎのや」のみ。茨城県を中心に展開している和食レストランである。またお土産に納豆なども売っていて、ザ・茨城という空港である。

ところで茨城空港は初年度から黒字である。フライトの利用者が少ないから赤字を計上すると見込まれていたが、実は黒字なのだ。なぜかというと、フライトの利用者は少ないが空港の利用者が多いからだ。催し物を数多くやって来場者を増やしたり、また飛行機の離発着の見学者も多いというのがその要因である。初年度のフライト利用者は20万人だが、空港来場者は80万人だったのだ。赤字の地方空港が多い中、初年度から黒字を確保しているのだから、経営的には成功していると言っていい。

茨城空港は飛行機に乗りに行くというより、遊びに行くところという側面の方が大きいのだった。

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