エクソシスト

久しぶりに「エクソシスト」を見た。名作というのは何度見ても面白いもので、最近映画を見ている途中で必ず途中休憩をはさむ私なのに、終わりまで一気に見てしまった。

「エクソシスト」も考えてみると、もう半世紀近く前の作品である。それなのに近年のCGを駆使した派手なホラー映画よりも断然面白いのはなぜか。やはりどうみても脚本の完成度と監督の手腕なのだろう。技術はあくまで手段に過ぎないのだ。

映画女優のクリス(エレン・バースティン)の一人娘リーガン(リンダ・ブレア)に異変が起き始める。全く違う声での卑猥な言動、外見の変貌、ポルターガイスト現象などが、だんだんひどくなっていく。何人もの医者に診てもらっても、あちこちの病院で検査をしても原因が全くわからない。途方に暮れたクリスは、ついに悪魔祓いを神父に依頼する。

悪魔祓いといえば、マックス・フォン・シドー演ずるメリン神父というイメージだが、意外と出番は少ない。映画の冒頭にちょこっと出て、後は最後の30分にボチボチ登場するくらい。実はメリン神父の助手として悪魔祓いを行うカラス神父(ジェイソン・ミラー)のストーリーが、作品のかなりの部分を占めるのだ。カラス神父の葛藤が、この作品に奥行きを与えているのである。

ところでテーマ曲に使われて、すっかり怖い音楽のイメージになってしまったマイク・オールド・フィールドの「チューブラー・ベルズ」だが、映画を抜きにしてもとても素晴らしい曲なのである。映画では冒頭部分しか使用していないが、パート1が約26分、パート2が約23分の堂々たる作品だ。私は最初にカセットテープで買って、次にレコードで買って、最後にCDでと、3回も買ってしまった。

この映画はとてもいい作品なのだけど、アレレな部分もあって、リーガンを通して悪魔がしゃべった言葉を録音して、それを解析している小部屋の外側の壁の上部に、赤いローマ字で「TASUKETE!」と書いてあるのは、ちょっとねえ。以前に見たときには全然気がつかなかったけど、今回は何か書いてあるなと思って一時停止させてみたらわかったのだ。調べてみると、公開当時には話題になっていたらしい。

ウィリアム・フリードキン監督、1973年製作。

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