厨房のバイトは面白かった

結婚式場の厨房でバイトをしたことがある。かなり忙しい職場だったけど、結構面白い仕事だった。料理を作り上げていく作業はなかなか面白いのだ。しかし仕事自体は面白いものの、料理長が癇癪持ちで怒鳴ってばかりいるのに嫌気が差して辞めた。鍋なんかを投げているのも目撃したし、今だったらパワハラもいいとこだろう。

大人数の料理を用意するのは家庭料理とは勝手がずいぶん違う。手順をよく考えてシステマティックにやっていかないと間に合わない。皿を台に並べる人、料理を載せる人、ソースをかける人などが整然と動いて作り上げていく。

温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく出すのではあるが、数十〜百人もの料理を作りたてで出せるはずもなく、それらは事前に作っておいたものだ。サラダ等は皿に盛った状態で冷蔵室に入れておく。ステーキや揚げ物などはホテルパン(お盆のようなステンレス製の大きな容器、食べ放題の店で料理をドバっと入れてあるやつです)にズラッと並べておいて、コンベクションオーブンで温めて皿に盛り付ける。

料理を盛りつけたら、セルフィーユ、イタリアンパセリ、エディブルフラワー(食べられる花)などで飾り付けて客に出す。ズラッと並んだ料理を、運ぶ係が一気に持っていく。

まかないは別にあるけど、余った料理も食べたりする。料理は特においしいわけではないし、いつも同じようなものなので飽きるが、ケーキだけは良かった。定評のある専門店のケーキを仕入れているのでうまいのだ。余裕を見て仕入れているから大抵余る。その余りを仕事終わりに食べるのである。いつもまかないの食事は抑え気味にして、ケーキをたくさん食べた。厨房の仕事は汗だくになるほど忙しく体力も使うので、毎回ケーキを食べてもそんなに太らない。

最初は厨房道具の名前を覚えるだけでも大変だが、業務用食材のボリューム感に驚いたり、こんな風に作っているのかと感心したり、何事もやってみると裏側が色々わかって面白いものだ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。