数十年ぶりにアンドレイ・タルコフスキー監督「ノスタルジア」を見る。相変わらずわけの分からない内容だけど、不思議と飽きることはなく、最後まで一気に見てしまった。彩度を抑えた美しい映像のせいか。それとも、わけが分からないながらも力強さを感じる演出のせいか。少なくともくだらない映画を見るよりはずっといい。
ロシア人で詩人のアンドレイは、温泉のあるイタリアの寒村に愛人とともに逗留する。そこで家族を7年も家に閉じ込めていたという変人のドメニコに出会う。ドメニコはロウソクに灯した火を消さずに、広い温泉を端から端に渡るように頼む。アンドレイがそれを実行しているとき、ドメニコはローマの広場で世界の救済のための演説をし、そのまま焼身自殺する。
昔は苦労して見たような気がするが、なぜだか今回は、このストーリーがあるような無いような作品を楽しんで見ることができたのである。よくは理解できていないのだけど。こういう映画は理屈を考えるより、イマジネーションを感じることが肝要だ。
ドメニコ役のエルランド・ヨセフソンはタルコフスキー監督の「サクリファイス」にも出ているし、イングマール・ベルイマン監督の「ある結婚の風景」「秋のソナタ」などにも出ている。巨匠御用達の役者か?
1983年製作。オレグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン、ドミツィアーナ・ジョルダーノ、デリア・ボッカルド主演。