文明の逆説/立花隆

古本をなにげなく買ってきたのだが、ずいぶんと古い本だった(1976年刊行)ので驚いた。もう40年も前の本だったのだ。しかし読んでみると面白い論点も多く、なかなか楽しめる本だった。興味のあった論点は以下の通り。


「日常、精神的ストレスを感じている人は、日本人の6割。その割合は収入が高いほど、学歴が高いほど、大都市に住む人ほど高い。」
これは今でも言えることらしく、40年経っても変わっていない。

「エネルギー源の問題。今世紀末に訪れる、化石燃料エネルギーから原子力エネルギーへの乗り換え時が第一の危機。それから百年以内に起こる原子力エネルギーから核融合エネルギーへの乗り換え時が第二の危機。この二つの乗り換えに失敗したら、地球上の人間の3分の1くらいは死ぬことになる。」

この本が書かれた頃は、20世紀末に化石燃料が枯渇するとされていたので、原子力エネルギーが必須条件だったのだ。しかし化石燃料はシェールガスやシェールオイルなどが出てきて、枯渇どころか数百年は安泰だし、逆に原子力はその危険性や使用済み燃料の問題などから敬遠される場面も増え、予想とは違って化石燃料からの転換はあまり進んでいない。

「突然ある種族が爆発的に増加し始める。それを「生態的大爆発」と名づけている。大爆発を起こした種はどうなるか。食料不足で餓死する。あるいは、過密のためストレス過剰になり、発狂、生殖能力の低下、同姓愛の蔓延といった現象を起こす。いずれも、すでに我々の社会に現れている。」

発狂、生殖能力の低下、同姓愛の蔓延が40年前から言及されていたことに驚いた。今まさに進行していることであり、最近になって目立つようになったような気がしていたのである。わけのわからない殺人や乱射事件などは発狂に類するとしてもいい。出生率の低下はまさに人類の生殖能力の低下を現している。LGBTというものも、一般認知化が進んでいることから増加しているはずだ。

科学系の解説書は時間が経つと古臭い内容になってしまう恐れが多いが、大ハズレの予測も含めて意外と面白く読むこともできるのだ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。