生きるのが辛そうな鴨居玲

20年くらい前に、笠間日動美術館で鴨居玲(かもいれい)展を見たことがある。ほぼ全部の作品が人物画である。チケットの絵を見てもわかるように、見ていて楽しいような絵ではない。暗く、テンションの下がるような絵ばかりである。

特に自画像にはまったく明るさも希望も無い。あるのはただ虚しさ絶望感である。そういう作品がずらっと並んでいる。暗鬱たる気分になる作品展なのだった。今までたくさんの企画展を見に行ったけど、最も雰囲気の暗い、見た後にぐったりする企画展だった。

これらの絵を見ていると、57歳で自殺するのもわかるような気がする。チケットの絵は「出を待つ(道化師)」で、自殺する前年の作品である。表情は自画像と変わらない。題材は道化師でも、描いているのは自分自身なのだろう。

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