「さすらいの航海」を思い出す

新型コロナウイルスによる肺炎のせいで大型クルーズ船が各国で入港拒否されている。そりゃまあそうだろう。自国にコロナウイルスを持ち込まれては困るのだ。中国周辺を巡るクルーズ船が危険なのはダイヤモンド・プリンセスでの発症例を見れば一目瞭然である。この時期にクルーズ船に乗り合わせた乗客は不運としか言いようがない。

この状況を見て「さすらいの航海」という映画を思い出した。もう40年以上前の映画である。ナチスによる迫害から逃れたユダヤ人を乗せた客船が、どこからも受け入れてもらえずにさまようことになるという、実話を基にした映画である。

実にやるせない気持ちになる作品だが、キャストは豪華。フェイ・ダナウェイ、オスカー・ウェルナー、マックス・フォン・シドー、オーソン・ウェルズ、ジェームズ・メイソン、マルコム・マクダウェル、キャサリン・ロス、リン・フレデリック、リー・グラント、 マリア・シェル、ベン・ギャザラ、ジョナサン・プライス、ジュリー・ハリス、デンホルム・エリオット、等々。

悲劇のヒロインとしての贔屓目はあるにしても、マルコム・マクダウェルと共に絶望して自殺してしまうリン・フレデリックがとてもきれいだった。

当時ほど絶望的な状況ではないにしても、各国で入港拒否という同じような構図がまた現れるなんて。人生には時として予想もつかないことが起こるものだ。

スチュアート・ローゼンバーグ監督、1976年製作。

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