15時17分、パリ行き

これは実際に起きた列車のテロ事件を描いた、90分程度の短い作品である。監督はクリント・イーストウッドだから期待大。しかし驚いたことに、事件を描いた部分はごく僅かで、延々と前置きが続くのだった。

ヨーロッパ旅行をしていたアメリカ人の若者3人が、アムステルダム発15時17分の列車に乗り、負傷しながらもテロリストを取り押さえて、多数の乗客の命を救ったのである。この事件そのもの描く部分は最後の方の15分くらい。半分以上はずっと3人の生い立ちなどの描写なのである。

まあ確かに事件そのものを描くのにそんなに時間はかからないし、3人の若者の人となりを描いておく必要はあるだろう。しかしテロ事件の映画だと思って見ているので、生い立ち部分を延々と見ていてもあまり面白くはない。彼らの行動は良いことだけど、作品としてはどうだったかなという感じである。

ところで主役の3人と乗客の一部は本人が演じている。素人が主役なのだ。それにしてはなかなかの出来だと言えるが、本人が演じるなんてとても珍しい配役である。最後にフランスのオランド大統領から勲章を授与される場面や、地元のサクラメントでパレードをする場面もあるが、これも本物であるらしい。ニュース映像をうまく使っているようだ。

DVDには「キャスティングについて」という映像特典が付いていて、いつもはこういうのもは見ないのだけど、今回は本人が演じるという特別なキャスティングなので見てみると、これが思ったよりも面白い。この映画には付属すべきものだという気がする。この映画を今後テレビ放映する際やストリーミング配信などで見る場合にも、この「キャスティングについて」を合わせて視聴できるようにしたらいいと思う。

アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン主演
2018年製作

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