自転車の通行区分はあいまい

何年か前に道路交通法が改正されて、自転車の通行区分が原則車道となったことは知っている。しかし現実問題として、田舎では自転車が車道を通行することが合理的とは思えないのである。また実際の運用でも通行区分は非常にあいまいだ。本当はどっちなのかと感じられることは多い。

大きな交差点では横断歩道の脇に自転車の横断レーンがあり、これは歩行者的扱いである。また学校の近くなどではグリーンゾーンが設けられていることが多い。大概は道路の片側にあって、どっち方向に進むにせよ歩行者・自転車はまとめてそこを通行するようになっている。これも自転車を歩行者と同じ扱いにしている。

都内など人の多い場所では混みあう歩道を自転車が通行するのは危険だというのはわかるが、田舎ではずいぶんと景色が変わってくる。宇都宮に次ぐ、栃木県第2の都市である小山市でも歩道を歩く人はまばらだ。ほとんど見かけないと言ってもいい。そんなガラガラの歩道があるのにわざわざ狭い車道を自転車が通行するのは、自転車にとっても危険だし、車から見ても非常に邪魔である。車が自転車をなかなか追い抜けずに、ちょっとした渋滞になることもあり、車の運転手からすれば「頼むから歩道を走ってくれ!」と文句のひとつも言いたくなる場面だろう。

ところで自転車は原則的に車道を通行することになっているが、一定の条件を満たした場合には歩道を通行できることになっている。その条件とは、
①「自転車通行可」の道路標識または「普通自転車通行指定部分」の道路標示がある歩道を通るとき
②運転者が13歳未満もしくは70歳以上、または身体に障害を負っている場合
③安全のためやむを得ない場合

①と②はわかりやすい。条件がハッキリしているからである。しかし③の条件がまたあいまいなのだ。安全のためやむを得ない場合の例、というのがあって、①、②に該当しない場合でも、「車道または交通の状況に照らして、安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ない場合には、歩道を自転車で通行することができる。」とされ、例があげられている。
・路上駐車車両が多く、かつ右側に避けるのが困難な場合。
・自動車の交通量が著しく多く、かつ車道が狭い場合。
・煽り運転、幅寄せなどの危険運転や、理由もなくクラクションを鳴らすなど、自動車を用いた暴行行為を行う者がいる場合。

しかしこの条件は”客観的に認められる必要がある”ということなのだ。自分で上記条件を感じられるだけでなく、”客観的にもやむを得ないと認められる状況である必要がある。”ということになっているのである。客観的にもやむを得ないと認められる状況、とは誰がどう判断するのか。

自転車が歩道を走れる条件として一応例外規定みたいなのはあるが、結局条件の最後にはあいまいな部分が残る。そしてあいまいなまま歩道を走らざるを得ない。

警察も自転車が歩道を通行していても、よほど無謀な運転をしない限り取り締まることはないようで、子供も若者も買物のおばさんもみんな当たり前のように歩道を走っている。車道を走る自転車はほとんど見かけない。田舎では道交法の通行区分と実際の通行状況はまったく違うし、それは世間的にも容認されている。

ただ自転車が歩道を走る場合、スピードを抑えることは必要だ。スピードを出すのなら車道を走るべきだろう。もともと歩行者と自転車との衝突の危険性から、道路交通法の改正につながったのだから。

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