にっぽん昆虫記

この映画の題名はなぜ「にっぽん昆虫記」なのだろう、と思って考えてみる。昆虫の世界といえば、メスが断然優位なような。ハチやアリの巣は女王を筆頭にほとんどメスばかりだ。オスは交尾のときだけ現れて、交尾が済むとほどなく死んでしまう。カマキリなどは後尾の後に、うかうかしているとメスに食べられてしまうとか。

画像

戦後の日本が舞台のこの映画も、登場する女性たちが実にしぶとく元気である。体を売ってでもしぶとく生き抜くし、亭主も養ったりする。田舎育ちのトメ(左幸子)は、都会に出てきて売春宿に使われるようになるが、やがてはそこを牛耳ることになる。

トメの少々頭の弱い父ちゃんは68歳で死ぬけれど、婆ちゃんは91歳でもピンピンしている。トメの娘も、パトロンを出し抜いて金をせしめ、ブルドーザーを自ら乗りこなし、恋人と農場経営を始める。

人間も昆虫も、女性は強くしぶといところから、また働き者でもあるところから、この映画の題名は付けられているのかなと思う。今村昌平監督の作品はどれも面白い。1963年製作。

[amazonjs asin=”B0026OBVFQ” locale=”JP” tmpl=”Small” title=”NIKKATSU COLLECTION にっぽん昆虫記 DVD”]

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。