私の弟は「やっぱり医者の薬は違う。抗生物質を飲んだらピタッと良くなった」と、カゼのときに言ったりする。まあ本人がそう思っているならいいかと余計なことは言わないが、抗生物質はカゼのウィルスにはまったく効果が無い。抗生物質が効果を発揮するのは菌に対してなのである。
そもそもカゼを治す薬は存在しない。だから医者に行っても意味は無いのだが、それを知らない人は多い。セキを和らげる、ノドの痛みを和らげる、熱を和らげるなど、症状を和らげることしかできないのだ。薬を飲んでも飲まなくても、カゼが治るのにかかる期間はまったく変わらない。
カゼをひいたときには、家で暖かくして栄養をとってじっとしているのが一番いいのである。医者に行くとか薬を買いに行くとか、行動するのが実は良くないのだ。カゼは自分自身の免疫力で治るものだから、基本的に薬は不要である。どうしてもノドが痛くてしょうがない、などの場合に症状を和らげる薬を使うというのが正しい。
医者自身もカゼの薬は飲まないそうである。まあそれはそうだろう。効かないのを知っているのだから。じゃあなぜ処方するのかというと、患者が納得しないからである。それに儲かるからである。薬を出せば患者は喜ぶし、自分は儲かるのだから、薬を出さない理由はない。
カゼにかかる人数の多さを考えると、日本全体で大いなるムダが毎年毎年行われていると言える。大きな医療費の無駄使いなのだ。政府は医療費の削減を唱えていながら、こういう事態を放っとくのはなぜなのだろう。背景には厚労省の医療関係、製薬関係への配慮がうかがえる。
